秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
「つらく大変だったとき、そばにいてやれなくてゴメン」

謝られるなんておかしい。勝手なことをしたのは私なのだから、謝るべきなのは私なのに。

「違うの。私が悪いの。私が――」

言い募ろうとしたとき、彼の両手が私の頬を包み込み、顔を引き寄せた。言葉の先を唇で塞がれ、驚きに目を瞬く。

二年ぶりの口づけが、私の心に再び熱い火を灯す。

だめだ。もう嘘を吐き通す自信がない。

瞳からぼろぼろと涙が溢れ出し、収集がつかなくなった。

「これからは、ふたりで生きていこう。ふたりで晴馬を育てよう」

その言葉を、きっと私は無意識のうちに待ち望んでいたのだろう。うれしくて、彼を抱く腕に力がこもってしまう。

けれど、ハッと我に返りその手を解いた。

私だって好きで涼晴と連絡を絶っていたわけではない。どうしても譲れない理由があるのだ。

「それでも私は、晴馬が涼晴の子だとは認められない」

「……は?」

今さらなにを言っているんだという顔で、涼晴は私を見つめる。その視線が痛くて、私は立ち上がり彼に背を向けた。

「涼晴とは家族になれない……!」
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