秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
「茜音が……涼晴と、か」

ふたりが密会していることは知っていた。彼らは俺が気づいていないと思っているようだが、俺はそこまで鈍感な人間じゃない。

確信したのはさっきだけどな、と毒づいて浴室へ向かう。

キッチンからふたりの甘いささやき声が聞こえてきて、ああ、俺の予想は正しかったんだなと落胆した。

熱いシャワーを頭から浴び、動揺気味の脳を落ち着かせる。

両親が亡くなったのは、俺が高校二年生になってすぐだった。それまでは自由にやっていた俺だったが、小学生の妹の未来が俺にかかっているのだと気づいたら、もう遊んでなどいられなかった。

親戚に引き取られた俺と妹は、とくに苦労を強いられることもなく生活していけた。

父の兄が優しい人で、本当に恵まれていたと思う。あの人ほど感謝している人は他にいない。

それでも金銭面で迷惑はかけたくなくて、必死に勉強した俺は、特待生枠で大学に入学した。

就職してある程度金がたまったら、すぐに妹を連れて安アパートへ引っ越し、両親の残した金で茜音の進学費用を払い、ギリギリのところでなんとか生活してきた。
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