秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
真面目に仕事をしているうちに、俺を名指ししてくれる客も増え、個人事務所を立ち上げることができた。

やがて、評判を聞きつけたテレビ局が取材にやってきた。メディアで取り上げられた効果が大きかったらしく、事務所は大盛況、年々事業規模を拡大している。

無駄にイケメンと妬まれ、うっとおしくて大嫌いだったこの顔が、メディアには都合よく映り、結果助けられることになった。皮肉だなと思ってしまう。

シャワーを浴び終えた俺はリビングへ戻り、缶ビールを胃袋へ追加投入した。なんだか飲みたい気分だ。

妹はまだしばらく帰ってこないだろう。

俺を裏切ってあっさり妹に手を出した涼晴の顔が頭にちらつき、はぁぁぁと深いため息を吐く。

むしろ、涼晴でよかったと思うべきか。あいつは昔からやたらとモテるが、軽々しく誘いに乗るような男ではない。

吟味して、本当に大切にできる女性とだけしか関係を持たないタイプだ。

どこぞのチャラい男でも連れてこようものなら、ぶん殴ってやるつもりだったが、彼ならば文句は言えない。あれほどきちんとした男を俺はしらない。

「……いつか俺に、打ち明けてくれんのかな」
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