秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
固い声を発して硬直する。まさか、茜音の知り合いか?

しかし、茜音の表情を見る限り、歓迎するような相手でないことは明らかだ。

男はもう一度チャイムを鳴らすが、当の茜音は呆然としたまま立ち尽くしている。悩んだ挙句、俺は通話ボタンを押した。

「はい」

応じると、モニターに映る男性が硬質な声で名乗った。

辰己(たつみ)家の者です。藍葉茜音さんがご在宅と存じます』

どことなく威圧的な、有無を言わさぬものいい。門前払いと決め込みたいが、この男は茜音がここにいることを知っているという。

「ご用件は?」

『直接お話しさせていただきたく。お兄さまにも同席してもらって構いません』

名乗っていないにもかかわらず、俺が兄であることを言い当てた。どうやら茜音の素性をよく知る人物らしい。

「……開けてもいいか?」

俺が尋ねると、茜音はぎゅっと奥歯をかみしめて、意を決したように頷いた。

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