秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
涼晴が携帯端末を覗きにくる。晴馬も見たいらしく、涼晴の頭の上から手を伸ばしていた。

「初めての親子写真だね」

晴馬もご満悦なようで、涼晴の頭を掴んでぴょんぴょん体を揺らしている。

「いつかもっとちゃんとした写真、撮りに行こうな」

ちゃんとした写真? 私はきょとんと目を丸くする。

すると彼が柔らかく微笑んだ。上から射し込む薄紅色の光を受けて、その表情はいっそう甘く見える。

「ウェディングドレスも着たいだろう?」

彼の言葉に私はハッとする。

紙を一枚、区役所に提出するだけのドタバタした入籍だったから、結婚式も挙げていないし、ウェディングフォトも撮っていない。

「うん!」

私は大きく頷いて、涼晴の腰に抱きついた。

晴馬がもう少し大きくなったら結婚式を挙げよう。せっかくだから、ひらひらの白いドレスを着ちゃおうかな。

バージンロードは兄に歩いてもらって……でも、涙もろい兄はきっと祭壇に辿り着く前に号泣してしまうだろう。
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