秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
嘘がバレてしまい、サッと目を背ける。

けれど、兄があからさまに気まずそうな顔をしたせいか、涼晴がこれ以上、私の夫について問い詰めてくることはなかった。

「なぁ、斗碧」

私から情報を聞き出すのは無駄だと悟ったのか、涼晴は兄のほうに視線を向ける。

「ハルマくんて、もうすぐ誕生日なのか? ほら、名前に『春』ってつくから」

横で聞いていた私はサッと青ざめる。兄はすぐさま笑って否定した。

「あぁ、違うよ。ハルマの『ハル』は季節の『春』じゃなくて、快晴の『晴』。晴れ馬――なんか男らしくて元気の良さそうな名前だろう?」

もちろん、兄には話していない。晴馬の『晴』の字を父親からもらっただなんて。

私が適当に見繕った『なんか男らしくて元気が良さそうな名前だから』という曖昧な理由を信じ続けている。

涼晴の意味深な視線がこちらに向く。

「……茜音ちゃん」

私はギシッと固まって沈黙した。

私と涼晴の関係を知らない兄は、なぜふたりの間に気まずい沈黙が流れているのかさっぱりわからないだろう。いや、そもそも鈍感な兄は、この空気に気づかないかもしれない。

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