秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
「ところで涼晴。お前、家は? 近くにマンション借りたのか?」

能天気な兄が、私たちの間に漂うピリピリした空気を吹き飛ばしてくれた。ちょっと助かる。

「ああ。同じマンションだよ。さすがに同じ部屋は空いてなかったけれど、ちょうど上の階に空きがあったから」

かつて私たちは、同じマンションに暮らしていた。私と兄が十八階、涼晴が二十階だった。

もともと涼晴は勤務先から近いという理由でこのマンションに住んでいたのだが、そんな彼に引っついていくかのように兄も同じマンションに入居を決めた。顔見知りが近くにいたほうがなにかと安心だからとかなんとか言って。

涼晴は留学するにあたって、一度部屋を引き払ったが、どうやら別の部屋を再契約したようだ。

っていうことは、これからしょっちゅう顔を合わせることになるの……?

蒼白になってベビーカーを押していると、ちょうどマンションの前に着いたところで、晴馬が目を覚ましグズり出した。

「ご、ごめん、私、先に晴馬を連れて帰るね!?」

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