秘密で子育てしていたら、エリート外科医が極上パパになりました
研究留学よりもずっと昔のこと。短期留学中に出会った教授の娘さんにえらく気に入られてしまったのだ。

世界的な医学賞まで受賞した名のある教授に、娘と結婚してほしいと頭を下げられ、無下に断ることもできず途方に暮れた。

だが仕事のために愛のない女性と結婚をする選択肢は、俺の中にはなかった。

何度も話し合いを重ね、教授の信頼を得ると同時に理解してもらった。俺にはすでに愛する人がいて、結婚するなら彼女しか考えられないのだと。

「断ったよ。仕事のために結婚まで強制されるなんて、さすがにナンセンスだから」

「よく断れたなー。親御さんもノリノリだったんだろ? 絶望的とか言ってたのに」

「教授を根気よく説得した。世の中、最後に勝つのは気合いだよ」

「根性論か。うん、嫌いじゃない」

誰よりも根性論の似合う男、斗碧が深く頷く。

高校入学当初は反抗期で、クラスで一番成績が悪かったにもかかわらず、急に勉強を頑張り出して卒業する頃には首席を取っていた。

聞けば、大学進学のために特待生の枠を勝ち取りたかったのだとか。

高校二年生のときに親を亡くした彼は、俺が妹を食わせていかなきゃならないんだと使命感に目覚めたようだ。
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