偽りの夫婦
「はぁー」
「玉ちゃん?」
「若様に帰れって言われちゃった」
ガックリ肩を落として、部屋に帰る。

「前から冷たい人だったけど、結婚して更に冷酷になったよね…若様」
「奥様スッゴい綺麗だしね。
やっぱ敵わないなぁ」
玉本は紫龍に思いを寄せていて、玉本なりにアピールしていたのだ。


「でも玉ちゃんだって、綺麗じゃん!」
「かなりモテるし!
それに奥様、記憶喪失なんでしょ?若様に上手く取り入ったって噂だよ!」
「そうだったら、許せないよね…!」
「確かに…」
「ん?二人とも?」

「ん?ううん。何もないよ!ね?」
「うん!じゃあ今日は帰ろ?なにか美味しいもん食べて帰ろ!」
「うん」
玉本の友人二人も紫龍の部下だ。
その他にも、数人の女性部下がいる。
その友人二人はなにか企んだような顔で、その場を去った。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
次の日、陽愛が勤めるショップに女性部下二人が来店した。
「いらっしゃいませ!」
と陽愛のが対応する。

確かに綺麗な人だ。
こんな出会い方ではなければ、たぶん普通に仲良くなりたいと思う程に。
「何をお探しですか?」
「店員さん、綺麗ですね…」
「え?あ、ありがとうございます///」
「店員さんが着てるカーディガン…いいですね!」
陽愛を真っ直ぐ見て、彼女達は言う。

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