偽りの夫婦〜狂愛〜
「…っつ…紫…龍…?」
「ん?
ねぇ、あのカーディガン…ほんとに着ないの?」
「うん…」
「そう…」
「紫龍…ごめんなさい」
陽愛が目を潤ませながら、言った。
「ん?なんで、謝るの?」
「嫉妬…したから……」
陽愛の言葉に、紫龍は陽愛のピアスを触る。

「嫉妬って……しちゃダメなの…?
嫉妬するってことは、それだけ相手が大事で、好きってことでしょ…?
それを言うなら、俺は毎日嫉妬で狂ってるよ?
このピアスだって、少しでも嫉妬心を和らげるために、つけてもらったんだから」
「そうだったの?」
「だから謝んないでよ?
俺は嬉しいって言ったじゃん?」
陽愛のピアスを触っていた手を、口唇に動かしてなぞる。

「陽愛の……嫉妬…大歓迎……」
「ンン……」
そして陽愛の口唇を奪うように、ふさいだ。

紫龍の口唇が、口唇から首筋へ、それから身体中に這う。
「んぁ…あ…紫、龍……はぁ…あぁ…」
「陽愛…ひとつに繋がって……いっぱい…愛し合おうね……」
「━━━━!
あぁ…ん…紫…龍……」
「陽愛…俺を……見て…?
俺だけを……。
もっと……嫉妬で…狂って…」

このまま落ちようよ……。
大丈夫。
絶対に…一生……離すつもりないから………

果てて、紫龍は陽愛を腕枕して、頭を撫でている。
「紫龍…」
「んー?」
「社長さんって、刺青してて問題ないの?」

紫龍の背中には二つの顔を持った、龍がいる。龍の目は紫龍の瞳の色と同じだ。黒い瞳と、少し茶色かがった瞳。
その内の一つの顔は胸の方まで、向かって首が伸びている。背中と胸を、龍が守っているのだ。
その龍の刺青に触れながら、陽愛が言った。
まさか紫龍が、ヤクザとは夢にも思ってない陽愛。
陽愛には、学生の時に悪ぶって入れたと言っている。

「うん。別に服脱ぐわけじゃないしな」
「そうだよね…」

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