偽りの夫婦
「おそらく誘っても、忙しくて来てもらえないだろうからとおっしゃってました。
それに……」
「それに?なんだよ!?
言え!!」

完全に紫龍は不機嫌で、今にも飛びかかりそうな程だ。
三好もかなり怖いのだろう。
ビクッとなり、
「あ…はい!
嫉妬するから、旦那様をみんなに見せたくないと…おっしゃってました」
と怯えたように話した。

「ふーん。嫉妬ね…可愛いけど……
でも、許されないよな…?
二人揃って、俺に報告しないなんて……」
そう言って、眠っている陽愛に覆い被さり、口唇を重ね貪った。
今度は背中の龍が、三好を睨み付ける。

恐ろしい人だ。
紫龍は向かい合うだけでなく、背を向けようとも相手に恐れを与えるのだから。

「ンン…んぁ……。
え…?紫、龍…?」
「おはよ…」
「おはよう…朝?
紫龍…なんか…怖い……」
「んー?陽愛が好きすぎて、狂ってんの……」
鼻と鼻がくっつく位、紫龍の顔が至近距離にある。
紫龍の瞳に自分の顔がうつり、恥ずかしくなる陽愛。

「紫龍…お願い…離れて…!」
「は?なんで?」
「恥ずかし…の…」
「ダメ…まだ……終わってない…キス…」
また口唇を奪った。
「ンン……やぁ…お願…もう…起きな、い…と…」

「ダメだよ…まだ、まだ…俺の愛情を、受け止めて…?
まだ…伝わってないみたいだから……俺の愛情…」
一度口唇を離し、親指で口唇をなぞる。
「え……。
ンンン……ふぁぁ…」
結局…数十分間、ひたすら深いキスに溺れた。

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