偽りの夫婦

双子

｢え？白雪？｣
｢紫龍！｣
｢嘘…白雪…｣
｢会いたかった！紫龍｣
二人抱き合う。

白雪は、神宮 白雪と言って、紫龍の従兄弟だ。
紫龍の父親の弟の息子が、白雪。
二人は同い年で、双子のように過ごしてきた。
そして、お互い一番の理解者で、一番大切な存在だ。

｢紫龍、結婚したんだってな！
おめでとう！その人は紫龍を大事にしてくれてる？｣
｢あぁ。今は俺の一番大事な女だよ！｣
｢そう…よかった！会いたいな！紫龍の愛妻｣
｢もちろん、白雪になら会わせるよ。他の人間は会う価値ないけど｣
｢親父は会ってないの？｣

｢ふむ、お姫さんは紫龍がヤクザだって知らないからな。普通のお嬢さんだ。ワシは紫龍がする事をしてくれさえすれば、何も言うことねぇしな！｣
｢そうなの？｣
不思議そうに、紫龍を見る。

｢うるせー。知る必要ない｣
紫龍の雰囲気が、黒く染まる。
｢フフ…そうゆうことね！やっぱり俺の大事な紫龍だ｣
｢ん？｣
白雪は紫龍の雰囲気や、表情を見ただけで紫龍にとって妻がどれ程の存在かわかった。
｢ちょっとだけ…嫉妬するな…俺の紫龍なのに｣
｢フフ…
言っとくけど、陽愛を傷つけたら……いくら白雪でも……殺るよ…｣
｢フフ…
わかってるよ！紫龍を傷つけることは、誓ってしないよ！だから、愛妻も誓って傷つけないよ！｣

｢お前等はほんとに……美しき悪魔だな｣
組長の一言。

｢あ？｣
｢お前等の愛情は“異常”だが、普通の愛情よりも相手を命よりも大切にする。真っ直ぐ…相手の事だけを想う。
そこが、美しい。
だが、相手を壊してしまう。お前等の愛情が深すぎて、重すぎて…。
そして、相手を傷つけるモノは全て地獄に落とす。
残酷なやり方で｣

｢そうかも…しれないね……｣