帝王と私~Darkness~
貴将さんとキスしながら、涙が出てきた。

「弥生?」
「どうして…こんなに好きなんだろ…?
好きすぎて、苦しい……」
「ほんとは勝負したかったんじゃないよね?何か他に言いたいことあったんだよね?」
「え…?」
バレてる…?

「でも…聞かないけどね…」
「聞かないの?」
「そんな苦しそうな弥生から聞こうとは思わない」
どうして…
この美しい人は、
鈍感でいてくれないのだろう…?

「ご飯…食べよ?」
「うん」
いつものように後ろから抱き締められながら、食事をする弥生。
今日はあまり進まない。
「弥生。
はい、あーん!」
「え?あ…あーん……」
「美味しい?」
「美味しいよ」
「今度、たまには外食しようか?」
「え?うん…そうだね」
「何か食べたい物考えておいてよ?」
そう言って、貴将は弥生の頭を撫でた。

「貴将さんが決めて?貴将さんの食べたい物がいい!」
「俺は弥生しかいらない」
「それは…ズルい……。
私だって、貴将さんがいい…!」
「そうだね。確かにお互いそうだ!」
「フフ…」
「やっと笑った……」
「え?」
「今日は帰ってから、弥生の笑顔見てない」
「あ、そうだね。ごめんね…」
「ううん」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「それにしても貴将さん、オセロ強いんだね?
私、すごく自信あったんだよ?」
フッとオセロが目に入り、聞いてみた。
「賭け事とか、とにかく勝負に負けたことないよ?」
「そうだったんだ…」

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