帝王と私~Darkness~
弥生は貴将を見上げ、はっきり言った。
「え……弥生…?」

弥生は貴将の頬、額、瞼にキスをした。
そして、貴将の口唇に自分の口唇を押し付けるようにキスして、貪った。
正直、下手なキスだ。
いつもは貴将の狂ったようなキスを受けとめ、必死にしがみついてるだけの弥生。
でも貴将を感じたい、愛したいと言う気持ちで夢中に貪った。

そして貴将のシャツのボタンに手をかけ、不器用にボタンを外しながら、貴将の首筋や鎖骨、胸にキスをした。
「弥生…もう……やめて?」
「どうして?私が貴将さんを抱きたいの。だからいいでしょ?
それとも気持ちよくない?」
胸にキスをしていた弥生が、貴将の目を見上げ覗き込む。

「そうじゃねぇよ……。
それ以上…煽るなよ………!」
「え?」
「なんで………」
「貴、将さ━━━━━
キャッ!」
一瞬で貴将は弥生を押し倒し、組み敷いた。

「なんで!大事にさせてくれないんだよ!
俺がどれ程…弥生が愛してるのか、わかってんのかよ!?
せっかく必死で理性を保って、弥生を大事に…大事にしようとしてたのに……
台無しだ!!
……………もう…止まらねぇから…!」

“愛してる”
と言う言葉以上の言葉って、なんだろう。
誰か、教えてほしい━━━━━
この狂おしい程の感情は、どう表現したらいいのか。


だから、貴将と弥生は何度も何度も、身体を重ね愛し合うのかもしれない。


< 35 / 46 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop