研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
私たちも道を曲がると、正面に沼が登場した。
海というか川というか、大きな沼。

ゴツゴツした岩の上にそれぞれ荷物を整理して置く。

理仁が地図を1,2年に配る。

「AとBに分かれて、一応箇所番号ついてるんで、確認しながら行ってください」

淡々とした説明。
もともと教授からも聞いていたし、がっちり監視するほどでもない。

みんな私よりずっとしっかりしてる優秀な子たちだ。

私と理仁は直接するほどの仕事はなく、カメラ係だったり貴重品係だったりサブに回る。

マスターの学生が沼の中にバーッと散らばる。

理仁と私だけ残される空間。

秋晴れ。
紅葉。
バーベキューとかやりたくなるロケーション。

「最高だね、この景色」

嘘でも大袈裟でもなく、自然に出てきた。

「うん」

理仁が岩場に寝転がる。
そんな理仁を見下ろす。

ここから見る景色は、絶対に勝田エリーには譲らない。
これは、私だけのものだ。

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