研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜
近所の神社は小さいけど、ポロポロと人が集まってきていた。

除夜の鐘が鳴り終わる。
0時、新年だ。

「あけましておめでとう」

そう言って理仁を見上げる。

「おめでとう」

理仁もそう言って笑う。

「いい年になりますように」

自然と溢れた。
それしか願いなんてない。

短い参拝が終わって、階段を降りてると理仁が振り向いてきた。

「なにお願いしたの」

私は階段を降りる足元に視線をやる。

「とりあえず発表が無事終わりますように、かな」
「俺もそれだな」

理仁の言葉を聞いて、心の中で思う。

できればこの恋が実りますように、ともお願いしたけど。

私のアパートの前で別れる。

「じゃ、今年もよろしく」
「うん、こちらこそよろしく」

片手をひょいと上げ合う。

上手くいくといい、この一年。

その笑顔に、そう願った。
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