研究員たちの思春期〜恋の仕方が分かりません!〜

13.学会

「どうしよう、緊張する、あーどうしよう」

ステージ裏。

光に照らされたステージと、暗くたくさんの関係者で埋まってる客席とが見える。

とうとうこの日が来てしまった。

私たちは昨日、チームで京都入りした。

リラックスできるように、と教授の提案で昨日は一日観光して回った。

みんな楽しんでいたけど、私はどこの何を観たのか、説明されたことが全く記憶に残ってない。

銀閣寺も清水寺も、全く楽しむ余裕がなかった。
正直、京都なんて人生三回目だから見たことあるし。

そんなことを思いながら見ていた。

立ち並ぶ千手観音も、五重の塔も、写真は撮ったけど、それがどこの何か忘れた。

頭の中でひたすら英語の練習を繰り返していたからだ。

夜は早めにホテルに戻った。

男性陣はツインの部屋だけど、李さんと私だけはなぜか気を遣ってそれぞれシングルの部屋を取ってくれた。

べつに一緒でも良かったんだけど。

数少ない女性だからこんなところで優遇されている。

今日は朝イチで会場入り。

いろんな人種が入り混じってて、みんながお偉い人に見えてくる。

もう雰囲気に飲まれて、ずっと胃が重い。

理仁はパンフレットに目を通して興奮してるけど、私は真逆でパンフレットの内容も全く頭に入ってこない。

パンフレットを開いてはため息が漏れる。

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