身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
改めて知った彼の気持ちに、私はいったいどんな言葉を返せばいいのか迷ってしまう。そこまで一途に私を想い続けてくれていたことに嬉しいと思うよりも、切なさが込み上げる。四年前、黙って彼の前から姿を消してしまった自分の行動を始めて少し悔やんだ。
そんなことを思っていると、「そういえば」と柊一さんが突然、話を変える。
「冬真って夏生まれだよな。八月だっけ?」
「そうですけど、どうして知っているんですか」
「圭太が調べた」
「榊さん……」
おそらく今は柊一さんの秘書のようなポジションにいる彼とは、短い期間だったけれど第三営業課で一緒に働いていたときがある。
あの頃からずば抜けて優秀な人だったけれど、まさか情報収集までこなしてしまうとは。いったいどんな手を使ったのだろう。
すると、そんな私の不安を察したのか柊一さんが教えてくれる。
「圭太が調べたというよりも、あいつの知り合いに頼んだって言った方が正しいか。ちゃんとした調査会社だから心配するな。圭太にはその調査結果を確認してもらっただけ」
わざわざ調査会社まで利用していたとは、柊一さんの本気度が伝わってくる。彼はそこまでして私と冬真のことを知りたかったんだ……。