身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
「冬真の名前の漢字って、季節の〝冬〟に、真実の〝真〟って書くんだよな。どうして夏生まれなのに〝冬〟の漢字使ってんの? もしかして、俺の名前の漢字から取った?」
「え……」
思わず、ぎくりと体が強張ってしまう。すると、勘の鋭い柊一さんは私のその反応だけを見て確信したようだ。
「当たりだな」
そう言って、にやりと笑う。
柊一さんの言った通りだ。冬真の漢字は、彼の〝柊〟の字から〝冬〟だけをもらった。
冬真には父親のいない人生を歩ませてしまうから、せめて名前だけでも父親と同じものを入れてあげたくて。それともうひとつ、冬真の名前に柊一さんの漢字を入れたかった理由は……。
「もしかして、美桜も俺を忘れられなかった? だから、冬真に俺の漢字を使ったのか」
「わ、私は別にそんなつもりじゃ……」
言い当てられてしまい、それを認めたくなくて慌てて否定の言葉を告げた
「でも、お前もまだ俺のことが好きなんだろ」
「えっ」
「冬真に俺のことをそう説明したんだよな。冬真にとっての愛菜ちゃんが、美桜にとっての俺だって。つまり、結婚したいくらい俺のこと好きなんだろ」
「そ、それは……」