身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
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セリザワブライダルのドレスショーには特別な演出がある。それは、ショーの観覧に来ている一般女性客の中からひとりを選び、ウエディングドレスを着せてショーに参加させるというものだ。
当日に、衣装事業部の社員が目についた女性に声を掛けるのだが、どうやら今回のショーのスカウトを任されていたのが若葉で、私が選ばれてしまったらしい。
「ねぇ、若葉。私、このドレス着こなせてるかな」
「大丈夫。似合ってるよ」
「本当?」
ドレスショーに出演するモデルさんたちが利用している控室に通された私は、スタッフの手によりあっという間に真っ白なウエディングドレスを着せられてしまった。ヘアセットもメイクもしてもらい、全身が映しだされている鏡をじっと見つめる。
ウエストの切り替え部分から下がふんわりと広がっているプリンセスラインのウエディングドレスは、上半身がブイネックのオフショルダーになっているので顔周りがすっきりとして見える。胸元や裾部分に施された繊細なレース飾りが、ドレス全体に上品な印象を与えていた。
こんなに素敵なドレスを着るモデルが、果たして私なんかでいいのだろうか。