身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない
お顔が柊一さんにそっくりで、性格がちょっぴり私に似ているかわいい息子。これからは家族三人で一緒に生きていこう。
「パパとママ、結婚式だね」
「結婚式?」
冬真から飛び出た言葉に、私と柊一さんが顔を見合わせる。
「だってママ、お姫様になってるから。保育園で先生が絵本読んでくれたよ。お姫様と王子様が結婚するの」
「冬真、結婚ってどういうことかわかるの?」
改めてそう尋ねてみると、冬真はすぐに大きくうなずいた。
「わかるよ。大好きな人とずーっと一緒にいましょうねってお約束するんだよ」
冬真は〝結婚〟の意味をあまり理解せずに使っているのだと思っていたけれど、どうやら違ったらしい。自分なりの解釈でしっかりと理解をしていたようだ。
すると、柊一さんが冬真の目線に合わせるようにその場にしゃがみ込むと、小さな手を両手でそっと包むように握った。
「冬真。パパ、ママと結婚してもいいかな」
「ずーっと一緒にいましょうね?」
「ああ。ずっと一緒にいたいんだ。パパはママが大好きだから」
柊一さんの言葉を聞いた冬真の視線が私へと向けられる。それから、再び柊一さんに視線を戻すと、冬真は大きくうなずいた。