身を引くはずが、一途な御曹司はママと息子を溺愛して離さない


 それから三日後の月曜。

 私は、金曜日に残したままの仕事をするためいつもよりも早く会社に向かった。

 そのおかげもあり、いつもだいたい同じくらいの時間に出勤する柊一さんと顔を合わせることなく、第三営業課のフロアまでたどり着くことができた。

 私は、あれから柊一さんのことをさけている。スマートフォンには彼からのメッセージと着信がたくさん届いているけれど返事をしていない。

 できればこのまま柊一さんとの関係を終わらせたかった。もう一度彼に会って別れの言葉を言う勇気が私にはない。だって私はまだ彼のことが好きだし、本当なら別れたくないと思っているから。

 だけど、彼の未来のことを考えると、私がここで身を引くのがベスト。

 そう自分に言い聞かせながら仕事をしていると、秘書課から私に連絡が入った。どうやら社長が私を呼んでいるらしい。

 このタイミングでの呼び出しに妙な胸騒ぎを感じたものの、私は言われた通り社長室へと向かった。

 そこにいたのは五十代くらいのすらりと背の高い女性。花柄のワンピースの上にスーツのジャケットを羽織る彼女がセリザワブライダル社長の芹沢華江さん。

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