内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
「天沢の秘書をしております、大泉です」
 少し鼻にかかった高い声、笑みを浮かべた艶のある唇は、どこからどう見ても有能な秘書そのものである。あのアパートで祐奈を嘲笑った女性とは別人のようにも思える。
 大泉と名乗ったその女性は、田原と名刺を交換した後、"大泉奈々美"と印字された名刺を祐奈にも差し出した。
「よろしくお願いします」
「……名刺がなくてすみません。秋月と申します」
 祐奈が名乗り名刺を受け取ると、彼女の目つきが一瞬変わる。そして祐奈にだけ聞こえるような小さな声で呟いた。
「……偶然なの?」
 その言葉に祐奈は今度こそ確信する。
 大泉奈々美、アパートへ来たあの女性だ。

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