内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
「中身を見てからおっしゃってください」
 大雅の言葉を遮る奈々美の声に、大雅は目を細めて彼女を睨む。静かに息を吐いてから、大雅は資料を読み始めた。
 資料の前半は大雅にとっては今さらと思うような内容だった。
 二年半前の大雅との交際、その後の大和の出産。
 大雅はそれに目を通しながら、なんとしてもこの大泉奈々美からふたりを守らねばと考えていた。
 彼女の大雅への執着は異常だ。危険だとさえ思う。
 このくだらない資料を読み終えたら、すぐにでも秘書室から外して……。
 だが資料の二枚目、『秋月祐奈と天沢ホテルの関係について』という項目に目を止めて、眉を寄せる。そしてそこに書かれてある信じがたい事実に絶句した。
 秋月祐奈の父親秋月秀明は、天沢ホテル現社長、天沢宗久の学生時代の友人で、十年前の天沢ホテルの宇月温泉進出計画の際地元で唯一賛成派に回った人物であること。
 それをきっかけに、秋月秀明は地元の反感を買い、村八分状態になり、経営していた秋月旅館の従業員が離れ、営業困難な状態に陥ったこと。
 天沢ホテルの宇月温泉進出計画は立ち消えになった直後、ショックと心労が祟り突然倒れて死亡し、結局、秋月旅館は廃業したこと。
 そして当時、地元では"秋月秀明は天沢ホテルに騙されて、殺された"と噂されていたこと……。
 調査資料の最後は、『秋月祐奈が、天沢ホテルに対して恨みを持っていた可能性は否定できない』と締め括られていた。
 その目を覆いたくなるような事実に、大雅の頭が真っ白になる。
 机に手をついていなければ、立っていられないほどだった。
 二年間の突然の別れの真相が今ようやくわかった。
 なぜ祐奈が、あれほどまでに頑なに大雅に会うこともなく一方的に別れを告げて、そのまま姿を消したのか。大和を産んだことを大雅に知らせなかったのか……。
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