内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
『天沢ホテルの副社長が近々結婚するなんて知ったら、お姉さま方がっかりして、働く気がなくなるかも!』
 かくいう彼女も天沢ホテルに採用が決まっていた。
「元案内所の方たちは、フロントに配属するのがいいだろうな。観光案内はお手の物だろうし」
 呑気にそんなことを言って、大雅はショベルカーを眺めている。
 彼のいつも真っ直ぐに未来を見つめ続ける瞳は、自分が周りからどう見られているかということには無関心のようだ。
 大雅はこれから建物が出来上がったら、オープンまでの間は社員教育のために何度もここに足を運ぶのだという。きっと彼の仕事に対するその姿勢が、今までの別館天沢を成功に導いたのだ。
 だからそれに祐奈が口を挟むことはもちろんできないし、するべきではない。
 でもそれはわかっていても、なんだか面白くないと思ってしまうのは仕方がなかった。
「みんな綺麗な人ばかりよね……」
 天沢ホテルの制服に身を包んだ女性たちに、彼が囲まれている光景が目に浮かび、祐奈は思わずそんなことを呟いてしまう。
 それに大雅が反応した。
「それは、やきもちか?」
 そう言って、祐奈が返事をする前に素早く大和を肩から下ろし腕に抱く。そしてそのまま結奈を抱き寄せて頬にちゅっと口づけた。
「きゃっ! も、もうっ! 大雅、な、なに⁉︎」
 息子の目の前で突然キスをされてしまい、祐奈は頬に手をあてて目を白黒させる。
 大雅がにっこりと微笑んだ。
「祐奈がかわいいことを言うからだ。そんな心配しなくても俺はずっと祐奈しか目に入らないよ。今までも、これからも」
「な、なに言って……! もうっ! 大和が見てるのに!」
 だがとうの大和は、両親のやり取りなどどこ吹く風で「あんよ、いく!」と不満げに手足をばたつかせている。
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