内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
すべての日程を終えて、一同は温泉街の入口に停めた車へと戻ってきた。
時刻は午後三時半。
これから役場の車と大雅の車、それぞれに分かれて、役場へと戻ることになっている。
そこで解散だ。
だがその時、田原の携帯に観光課から連絡が入る。
電話に出た田原は少し話をした後、「とにかくこれから帰るから」と告げて携帯を切った。
どうやらなにかトラブルが発生したらしい。
そこへ大雅が、少し遠慮がちに口を開いた。
「田原課長、お取り込み中申し訳ないのですが、……できれば、帰る前にもう一度現地に足を運びたいのです」
「え? あ……も、もちろん、それは構いません。構いませんが……」
田原が少し戸惑いながら答える。
その田原を安心させるように、大雅は素早く言葉を続けた。
「田原さんはこのまま役場へお戻りいただいて結構です。それから都築さんも。私たちだけで行きますから。ただ……できれば、秋月さんに付き添っていただけるとありがたい。もちろん、午後五時までには必ず役場に送り届けます」
地権者には、天沢側の人間なら現地にはいつ立ち入っても構わないという了承は得ている。
だが、やはり役場の人間が一緒にいる方が安心だ。
現地の詳しい説明は、前回来た時にすでに受けているはずだから、見に行くだけなら祐奈でも問題はない。
田原が救われたように祐奈を見る。
「秋月さん、お願いできるかな」
「はい」
祐奈は答えた。
少し意外な展開だが、祐奈はこの後なんの予定もないのだから、断る理由はない。
田原と都築に別れを告げて、運転手付きの大雅の車に乗り込むと、車は静かに発進した。
助手席に山際が座り、後部座席に大雅と祐奈が並んで座る。
温泉街を、車はゆっくり走る。
流れる景色を眺めながら、大雅が静かに口を開いた。
「わがままを言って申し訳ない。ホテルを新しく展開する時は、いつも何度もその土地を訪れて、イメージを膨らませるのが私のやり方なんだ」
「大丈夫です。お気になさらないでください」
祐奈は首を振って答えた。
各地に進出した別館天沢が、どれも成功しているのは、彼のこうした努力の積み重ねがあるからだろう。東京の本社ビルで報告を受けるだけでは、気が付かないこともあるはずだ。
またひとつ、自分の知らない彼の顔を見た気がして、祐奈は複雑な気分で黙り込む。
やがて車は、温泉街を抜けて山道を上り始めた。
木々の合間から見える景色を無言で眺めていた大雅が、ふと口を開いた。
時刻は午後三時半。
これから役場の車と大雅の車、それぞれに分かれて、役場へと戻ることになっている。
そこで解散だ。
だがその時、田原の携帯に観光課から連絡が入る。
電話に出た田原は少し話をした後、「とにかくこれから帰るから」と告げて携帯を切った。
どうやらなにかトラブルが発生したらしい。
そこへ大雅が、少し遠慮がちに口を開いた。
「田原課長、お取り込み中申し訳ないのですが、……できれば、帰る前にもう一度現地に足を運びたいのです」
「え? あ……も、もちろん、それは構いません。構いませんが……」
田原が少し戸惑いながら答える。
その田原を安心させるように、大雅は素早く言葉を続けた。
「田原さんはこのまま役場へお戻りいただいて結構です。それから都築さんも。私たちだけで行きますから。ただ……できれば、秋月さんに付き添っていただけるとありがたい。もちろん、午後五時までには必ず役場に送り届けます」
地権者には、天沢側の人間なら現地にはいつ立ち入っても構わないという了承は得ている。
だが、やはり役場の人間が一緒にいる方が安心だ。
現地の詳しい説明は、前回来た時にすでに受けているはずだから、見に行くだけなら祐奈でも問題はない。
田原が救われたように祐奈を見る。
「秋月さん、お願いできるかな」
「はい」
祐奈は答えた。
少し意外な展開だが、祐奈はこの後なんの予定もないのだから、断る理由はない。
田原と都築に別れを告げて、運転手付きの大雅の車に乗り込むと、車は静かに発進した。
助手席に山際が座り、後部座席に大雅と祐奈が並んで座る。
温泉街を、車はゆっくり走る。
流れる景色を眺めながら、大雅が静かに口を開いた。
「わがままを言って申し訳ない。ホテルを新しく展開する時は、いつも何度もその土地を訪れて、イメージを膨らませるのが私のやり方なんだ」
「大丈夫です。お気になさらないでください」
祐奈は首を振って答えた。
各地に進出した別館天沢が、どれも成功しているのは、彼のこうした努力の積み重ねがあるからだろう。東京の本社ビルで報告を受けるだけでは、気が付かないこともあるはずだ。
またひとつ、自分の知らない彼の顔を見た気がして、祐奈は複雑な気分で黙り込む。
やがて車は、温泉街を抜けて山道を上り始めた。
木々の合間から見える景色を無言で眺めていた大雅が、ふと口を開いた。