内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
「……あの建物が保育園?」
 彼の視線の先には、少し急な坂道の下にある平家建ての建物がある。
 祐奈の胸が、どきりと騒ぐ。
「……はい」
 一瞬だけ躊躇して、祐奈はゆっくり頷いた。
 大雅は「そう」と呟いて、それ以上はなにも言わずに黙り込む。そしてまた保育園を見つめている。
 その綺麗な横顔を見つめるうちに、祐奈の胸にある不安が広がってゆく。
 ……大雅は、大和が自分の子だと知ったら、どう思うだろう?
 それは大和を生むと決めてから、再会するまでの二年間、思いもしなかった不安だった。
 なぜなら祐奈はもう二度と、彼に会うつもりはなかったから。
 でも再会してしまった今、それは重い課題となって祐奈の中に存在している。
 もし彼が大和を自分の子だと知ったら……。
 どうして勝手に産んだのだと、祐奈に怒りを覚えるだろうか。
 それとも、興味はないと冷たく事務的に対応する?
 まさか親権を主張することはないだろうけど……。
 でもそのどれだとしても、とても耐えられそうにない。
 彼に対する自分の気持ちがこれほどまで不安定だということを、祐奈は今日一日で思い知った。 
 ……知られたくない。
 知られてはいけないと強く思う。
 大和との静かな生活を、なんとしても守らなくては。
 でも彼が大和について疑念を抱きはじめていることは間違いないだろう。
 ……どうしよう。
 祐奈は唇を噛んで、膝の上の震える両手をギュッと握りしめた。

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