内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
 囁くような言葉と共に、唇が塞がれた。
 二年ぶりの口づけは、祐奈を過去の世界へ連れ戻す。狭い祐奈のシングルベッドで、ふたりは夢中でキスをした。
 なにも知らずに無邪気に彼を愛していた、あの頃の自分に戻りたい。
「ん、ん……!」
 入り込む大雅の熱が、祐奈の中で暴れ回る。
 熱くて、柔らかくて、少し強引な彼に翻弄されて、祐奈の心に一筋の光が差し込んだ。
 それはまだ弱々しくて頼りない、儚い光。
 でも確実に祐奈の中に変化をもたらすものだった。
 彼に愛してると言いたいならば、自分もなにかを乗り超えればいい。
 頭に浮かぶのは母が選んだ道だった。
 ……もう誰も恨まない。
 今からでもできるだろうか。
 大雅と大和、大切なふたつの存在のそばにいるために。
 離れゆく唇を焦がれるように見つめると、祐奈の頬を涙が伝う。
 至近距離にある温かい眼差しに、縋るように問いかけた。
「本当に、待っててくれる……?」
 真実を告げられるその日まで。
 愛してると、心からあなたに言えるその時まで。
「待つよ、いつまでも」
 頬を伝う熱い涙を、大雅の指がそっとすくった。

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