内緒の赤ちゃんごとエリート御曹司に最愛を刻まれました~極上シークレットベビー~
 天沢ホテル本社ビルの副社長室で、大雅はよく晴れた空の下の東京タワーを眺めている。
 祐奈と別れてからずっと、この東京タワーは大雅にとっては苦々しいものだった。
 見るたびに自らの犯した誤ちを突きつけられ、失ったものの大きさを思い知らされるからだ。
 でも今は、どこか優しい色をして、大雅の目に映っている。我ながら単純だなと思い大雅は笑みを漏らした。
 はじめて大和に会った時の気持ちは、とても言葉に表せるものではなかった。
 ただそこに居てくれる、それだけでありがたい尊い存在。同時に彼を生み育ててくれた祐奈を心から愛おしく感じた。
 二年間抱えてきた空虚な気持ちはあっという間に、熱いもので満たされて、身体中に力がみなぎるような心地がした。
 そして大雅は確信した。
 自分の居場所は間違いなくふたりのそばだ。
 そのためにはどんな壁も乗り越えてやる。なにからもふたりを守る。
 あの日からは大雅と祐奈と大和、三人で会うようになった。祐奈の仕事が休みの日に合わせて、土曜日か日曜日に。
 大雅が大和にバニラのアイスを食べさせる間、祐奈はストロベリーのアイスを食べるのだ。
 場所は宇月温泉と都内の中間地点にある天沢ホテルグループの一室。
 祐奈が人目を気にして地元で会うのを嫌がったからだ。
 祐奈には、大和のことをまだ公にしないと固く約束させられた。もちろん大雅とてそれに異を唱えるつもりはまったくない。
 けれどその時の彼女の思い詰めた表情が大雅の胸に引っかかっていた。
 あの日、二年ぶりの口づけの後、祐奈が見せた縋るような言葉と視線。
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