【完】片手間にキスをしないで

「うん。一緒に!」

「よし。そうと決まったら決行は放課後ね」

「え、今日?……あと、何するの?」

「ふふ、それはお楽しみ」


出来立てほやほやのネイルを口元に添え、内緒、と言わんばかりに美々は微笑む。


その表情は女子から見ても愛らしくて、彼氏が途絶えないことも納得だった。


なるほどね……唇に人差し指、けっこうな破壊力。私も今度、奈央クンにやってみようかな。


「え、待って。何の話?俺全然ついていけないんだけど」

「そういうわけだから、静。今日は部活少し遅れます!」

「だから、どういうわけだよ」


大きく息を吐きながら呆れる静に、夏杏耶は笑みを漏らす。


そして早速、美々に(なら)った。


うーん……こう、かな……?


「静には」


内緒——言いながら、心もとない指を口元に添えて。
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