身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
「じっとしてろ。このまま医務室に直行だ。なにかあってからじゃ遅いってわかってるだろ」

「それはそうですけど、突然そんなことを言われても……」

いきなりの言葉に小さく反論するが、柊吾は眉を寄せ凛音を黙らせる。

凛音の言葉にこれ以上耳を傾けるつもりはないらしい。

そして慎重に抱き直し、瑞生に背を向けて歩き出した。

「お、おい、柊吾」

柊吾の勢いに言葉を失っていた瑞生が、ハッとしたように声をあげた。

すると柊吾は立ち止まり、面倒くさそうに振り返る。

「俺がちゃんと医務室に連れて行くから心配せずに出かけろ。それと、言い忘れてたけど北海道工場の視察には俺も行くから。それを言いに来たんだよ」 

「え……それって、かなみと会う――」

「瑞生、無駄話してる暇はないんだよ。体調が悪いって言ってるのにいつまで話してるんだよ」

大きな声をあげた柊吾を、凛音はぴくりと体を震わせ見上げる。

強気な口調には慣れているが、声を荒げる柊吾を見るのは初めてかもしれない。

束の間沈黙が広がり社長室の温度が下がったような気がしたが、何故か瑞生がクスクス笑い出し、あっという間に空気が変わった。



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