身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
「その大丈夫っていうのが信用できないんだよ。それだけ青白い顔をしていて大丈夫なわけないだろ」

ぴしゃりと言い切る柊吾に、凛音は息をのむ。

強気な言葉とは裏腹に柊吾の瞳は心配そうに揺れていて、凛音の背に回された手も微かに震えている。

本気で凛音を心配しているのだ。

「柊吾さん……」

ふたりでいるときの柊吾の優しさを知っているだけに、凛音はそれ以上何も言えず口を閉じた。

「柊吾、その言い方。岡崎さんの顔色がもっと悪くなったぞ。追い込んでどうする」

瑞生のため息が気に入らないのか、柊吾はすっと目を細め「うるさい」とつぶやいた。 

「あの私は平気ですから。それに私、仕事がまだ残っていて帰るわけにはいきません」

凛音はそう言って小さく首を横に振る。

その瞬間視界が揺れ、全身がふらりとバランスを崩した。

「ほら、どこが大丈夫なんだよ。仕事なら誰が抜けてもどうにかなる。それは社長の瑞生も同じだ」

鋭い声音でそう言いながら、柊吾は凛音の膝裏に手を差し入れ素早く抱き上げた。

「きゃっ。あの」

突然横抱きにされ、凛音は慌てて柊吾の首にしがみついた。




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