身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
「ああ、その件なら聞いてる。……まあ、それ以外にも北海道ではよろしく頼む」

瑞生の声音が真面目なものに変わった。

それにうなずく柊吾の表情も引き締まっている。

よっぽど重要な案件を抱えているのだろうと、凛音は察した。

柊吾は途絶えることなく次々と大きなプロジェクトを任され、都度結果を出している。

このままいけば早い時期に部長となり、そして取締役に就任するだろうと社内の誰もが思っている。

何故か柊吾はそれを頑なに認めようとしないが、社長とともにハギモリビールを牽引していくに違いない存在だ。

そんな柊吾の隣りに、自分はいつまでいられるのだろう。

長く続かない関係だと理解していても、少しでも長く柊吾と一緒にいたい。

体調が不安定な今はひときわ強くそう感じる。

同時に柊吾の北海道出張を知り、凛音は寂しくてたまらなくなった。

単なる出張でさえこうだ。

この先柊吾との縁が途切れた後、しっかりと生きていけるのだろうかと大きな不安を感じる。

「行くぞ」
 
柊吾は抱き上げたままの凛音にささやき、再び瑞生に背を向け歩き出した。







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