身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
いつになく食欲を感じていた凛音は、取り分けたいなり寿司やだし巻き卵をすべて食べ終え、温かいお茶を飲みひと息ついていた。

このところ吐き気で食卓についてもなかなか箸が進まなかったのが噓のようだ。

久しぶりに全身に力がわいてくるのを感じ、食事は大切だとつくづく実感する。

「これだけ食べられたらひとまず安心だな。だけど調子にのって無理はするなよ。……いつまた目眩や吐き気があるかわからないからな」

柊吾は複雑な表情を浮かべ、テーブル越しに凛音の顔をじっと見つめた。

相変わらず心配しているのだろう。

凛音の些細な変化も見逃すまいとでもいうような目力の強さに凛音はおののいた。

どこまで過保護なのだろう。

「心配ばかりかけてごめんなさい。でも、今は大丈夫です。目眩もなければ吐き気も全然。それどころかこのままムースに突入できますよ」

冷蔵庫には柊吾が買ってきた苺ムースの他にもプリンがいくつか冷やされている。

「ムースもいいけど、写真集はどうだった? どこにも売ってないってあれだけ悔やしがってたくらいだから相当欲しかったんだろ?」
 


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