身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
柊吾はそう言って立ち上がるとリビングから本条遙人の作品を収めた写真集を持ってきた。

「かなり大きくて驚いたよ」
 
柊吾は凛音に慎重に写真集を手渡した。

柊吾が言うようにそれは大きく、縦横それぞれ三十センチはある。

ページ数も多く手に取った途端ずっしりとした重みを感じる。

大切そうに写真集を両手で抱え、凛音は柊吾に礼を述べ頭を下げた。

「いや、どうにか手に入ってよかった。……で、この中でなにか気になる作品でもあるのか?」

柊吾は凛音の隣りに席を移し写真集を覗き込む。

「一般住宅だけじゃなく公共建造物やショッピングモールの設計も有名だからな。どれも芸術作品のようで見ていて飽きない」

ページをめくる凛音の手元を見ながら、柊吾は感心するような声をあげる。

本条遙人の名前が知られるきっかけとなった万博のパビリオンや、最近話題の駅ビルの外観写真など。

三十年以上にわたって活躍してきた彼の作品はどれも評価が高く、カメラマンが一度は被写体としてカメラを向けたいと思う建造物としても有名だ。

そのおかげで今回有名カメラマンたちが競作するという形でこの写真集が制作された。




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