身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
あまりにも緊張し、視界から柊吾以外なにも見えなくなり、聞こえるのは激しく打ち続ける鼓動だけだ。

「おい、また顔色が悪いぞ。……安心しろ。俺だって凛音と二週間も離れるのは寂しいんだ。ほら、唇の色も変わってるし、力を抜け」

凛音の緊張を誤解したのか、柊吾は凛音の唇をそっと撫でた。

「出血はしてないな。一応こっちでも確認しておくか」

柊吾は素早く凛音に顔を寄せ唇を重ねた。

「……っふ」

いきなりのキスに凛音は驚き足もとがふらついた。

その背中を柊吾がしっかり抱き留め引き寄せた。

「あ、あの、話がまだ」

凛音はとっさに柊吾の胸に手を突き、ふたりの間に距離を取った。

「そんな泣きそうな顔をするな。ただでさえ気が乗らないのに本当に生きたくなくなるだろ。だけど、俺と離れるのが寂しくてそんな泣きそうな顔をする凛音も悪くないな」

見れば柊吾はうれしそうに目を細めている。

よほど涙に耐える凛音の顔が気に入ったらしい。

「あっさり北海道には来ないって流されて正直がっかりだけど、凛音も我慢してるんだな。だったら、まあいい。今回のプロジェクト、さっさとまとめてくるよ」



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