身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
この吐き気のせいで気が滅入ることも多く、妊娠が判明した直後だというのにつわりが治まる時期が今から待ち遠しい。

凛音は吐き気が落ち着くの待ってから炭酸水を飲もうと起き上がった。

そして手元の写真集をローテーブルに戻し、お腹をそっと撫でる。

「……ねえ、本当にここにいるの?」

まだなんの膨らみもないお腹に話しかける。

エコー写真を見て説明を受けていなければ妊娠しているとは思えない。

本当にここに赤ちゃんがいるのだろうかと苦笑した、そのとき。

「ううっ……」

凛音の問いかけに答えるような強い吐き気を感じた。

その抜群のタイミングに、凛音はさっき病院で聞いた女医の言葉を思い出した。

『つわりは赤ちゃんが順調に育っているお知らせのようなもの』

凛音は噴き出し、表情を緩めた。

赤ちゃんがつわりを通じて自分は元気に育っているとアピールし、気弱な母に活を入れてくれたのかもしれない。

「ふふっ。自己主張が強い赤ちゃんだな」

見た目に変化がなく胎動を感じるのはもう少し先。今はつわりだけが赤ちゃんからのメッセージ。

そう思えばどれだけつわりがつらくても耐えられると思えるから不思議だ。



< 164 / 256 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop