身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
たちまち聞こえた瑞生の荒々しい声に、凛音はハッと息を詰めた。

見れば瑞生は電話の最中で、椅子に深く腰掛けスマホ片手に厳しい表情を浮かべている。

急なトラブルが起きたのだろうかと凛音は眉を寄せた。

「だからどうしてそこに柊吾が巻き込まれるんだよ」

いつも落ち着いている瑞生には似つかわしくない尖った声に、凛音は慌ててパーティションで身を隠し動きを止めた。

柊吾の名前が聞こえたような気がして、失礼だと思いつつも耳をそばだてた。

「で? しばらくマスコミに注意しろって……マンションにも来てる? だったら柊吾だけゃなくおかざ……いや。いいか、そのマスコミに柊吾が今までどれだけ注意してきたと思ってるんだよ。柊吾だけじゃない、あいつの母親だってそうだ。え?」

部屋中に響き渡る瑞生のいらだつ声に、凛音はなにか大変なことが起きたのだと思い、パーティションからそっと顔を出して瑞生の様子を確認する。

瑞生の顔は紅潮し、力なく頬杖をついていた。

「ちょっと待て。このタイミングでそれはまずいだろ。柊吾だけじゃない、他にも調整してからじゃないと壬生レジデンスにも迷惑がかかるってわからないのか」



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