身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
というよりも、初めから凛音は結婚相手の候補にも挙がらずセフレとして存在していただけなのだ。

凛音は改めてその現実を思い知り、それまで治まっていた吐き気を感じて慌てて両手を口に当てた。

ひとまずこの場を離れた方がいいと思うが、今も聞こえてくる瑞生の声が気になり、足が思うように動かない。

「こうなった以上、柊吾もいよいようちを離れるだろうな……大臣がようやく諦めたなら豪腕社長の母親も早速柊吾を呼び寄せるだろうし。わかってるだろうな、あいつを手放すってことはうちにとってかなりの痛手なんだ。国家的な問題をレポートするのもいいけど、まずは親戚が被る問題をしっかり予想しろ。お花畑の恋愛脳なんて、アナウンサー界のクールビューティーと言われる小高香波には似合わないぞ……わかったよ。こっちは被害を最小限にするようやってみるよ」

大臣や豪腕社長だの凛音には縁がない言葉が次々と耳に届き、凛音の混乱はさらに深まっていく。

ただでさえ知らないことだらけだとわかっていたが、柊吾の立場は想像よりも面倒で複雑なようだ。

そのなにひとつ、凛音は知らされていない。もちろん結婚についてもだ。

「うっ……」



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