身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
その事実を受け入れたと同時に視界がぐらりと揺れ、とっさにパーティションに手をついて身を支えた。

すでに足もとから力が抜け、立っているのがやっとだ。いよいよまずいと思い、秘書課に戻ろうと足を踏み出したとき。

「おい、香波。言い忘れてた。……婚約おめでとう。じゃあ、なにかあればすぐに連絡しろ」

気持ちを切り替えたのか、最後はさっぱりとした声で祝いの気持ちを伝える瑞生の声に凛音は限界を感じた。

すっと全身から血の気が引くのを感じ、同時に足もとがくらくら揺れ立っていられなくなった。

「あ……」

凛音は両手をパーティションに置いて体を支えながらずるずるとその場に座り込んだ。

手にしていた郵便物は足もとにバサリと落ち、その場に散らばった。

「どうした?」

「あ……」

瑞生に気づかれ、凛音は慌てて立ち上がろうとするが、足に力が入らない。

目眩も感じ、ついにその場に突っ伏した。

「え、岡崎さん? 大丈夫か?」

様子を見にきた瑞生が慌ててその場に膝をつき凛音の体を抱き起こした。

「また目眩か? 気分は?」

「大丈夫です……じきに治まります」

瑞生の腕の中で、凛音は力なく微笑んだ。



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