身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
「たしかに好きですし、あのマンションは素敵だと想いますけど。いきなりどうしたんですか? またここに連れてきてくれるってことですか?」
 
凛音は土地勘があるような言葉を口にする柊吾に違和感を覚える。

この場所になにか思い入れでもありそうだが、これまでそんな話は聞いた記憶がない。

「たしかに今日のお店には是非来たいですけど。柊吾さんも気に入ったんですか?」
「え、あ、ああ、気に入ってる。また連れてきてやるから安心しろ」
 
柊吾は、ハッとしたように顔を逸らしくぐもった声で答えた。

「あの、それと。私を閉じ込めるなら通勤とか図書館とか関係ないですよね。家にずっといたらイタリア料理も食べられないし……」

「まあ……そうだな。とにかく、俺の家にいればそれでいいんだ。わかったな」
 
凛音の問いに、柊吾は余裕のない声で答える。

そんな姿は珍しく、凛音はまじまじと柊吾の横顔を見た。

考えてみれば、今日だっていくらおいしいお店だとしてもわざわざ会社帰りの平日に高速を使ってまで食事に来るのは妙だ。

「なんだ?」
 
凛音の視線を不自然にかわしながら、柊吾は助手席のドアを開いた。

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