身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
「明日も仕事だからさっさと帰るぞ」

「……そうですね」
 
すっきりしないながらも凛音は助手席に腰を下ろす。

柊吾はクーラーバッグを後部座席の足もとに置いて運転席に乗り込んだ。

「今日はちゃんと眠らせてやるから、早く食欲を復活させてまたここに来よう」

「はい。楽しみです」
 
そう答えながら、凛音はその日は本当にくるのだろうかと不安を感じた。

柊吾と一緒にいると忘れてしまいそうになるが、柊吾は見合いを控えているのだ。

「どうした? また気分が悪いのか?」
 
黙り込んだ凛音を気にかけ、柊吾が凛音の顔を覗き込む。

「やっぱり今日は家でゆっくりさせた方がよかったか……。あのマンションを見せたかったからって強引だったな。あ……いや」

「柊吾さん?」
 
なにやらつぶやきひとり焦る柊吾を、凛音はいぶかしげに見つめる。

「マンションって、なんのこと――」

「なんでもない。気にするな」
 
柊吾は強い声でそう言うと、すばやく凛音に口づけた。

「ふ……んっ」

ふたりの吐息が漏れ、濡れた音が車内に響く。

凛音は両手を柊吾の肩に置き、柊吾の動きに応えた。



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