身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
「そんな謙遜しなくても。どの方向で商品を開発していくか、いつもそのヒントを提案するのは柊吾さんだと社長から聞いてます。次の商品もそうなんですよね」

「……瑞生は俺をそうやって持ち上げて、まだまだ働かせようとしてるだけだ」
 
面倒くさそうに話す横顔からも口角が上がったとわかる。

口ではそう言いながらも瑞生の言葉を喜んでいるのだろう。

「ここだけの話、明日の昼食会は柊吾さんの大好物の鰻です。働き者の柊吾さんへの社長からのご褒美です。それも特上なので楽しみにしていてくださいね」
 
凛音は柊吾に体を寄せ、社外秘のトップシークレットを告げるように小声でささやいた。

「なんだよそれ。俺が鰻ひとつで仕事を引き受けるとでも――」

「頑張ってくださいね。柊吾さんはいずれ社長とともにハギモリビールを支えるエリートなんですから」
 
凛音は柊吾の言葉を遮り軽口をたたく。

これまでの柊吾の実績や会社への貢献度を考えれば社内でそう認識されているのも不思議ではない。

「……柊吾さん?」
 
助手席を見ると、柊吾が固い表情でハンドルを握っている。



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