身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
幾分トーンを抑えたものの、史緖は顔を真っ赤にして柊吾への不満を続けて口にする。

唯一ふたりの関係を知っていて、柊吾とは同じ部署だ。

嫌でも柊吾が視界に入りそのたび凛音との関係を思い出してはイライラすると言っている。

「いい加減に課長と腹を割って話をしないとますます痩せちゃうよ。凛音を狙ってる男性社員の話もよく聞くから、別の縁を考えるのもアリだと思うし」
 
史緖は高ぶる気持ちを抑えてそう言い残し、エレベーターを降りていった。

柊吾が参加する昼食会に史緖も招集されていて、そのときに質問されるはずの案件について広報に確認をとりに行くらしい。

「格好いい」
 
凛音は苦笑気味につぶやきながら、背を向け姿勢良く歩く史緖の後ろ姿をドアが完全に閉じるまで見ていた。

半年ほど前、柊吾の自宅近所にある実家に戻っていた史緖は、偶然凛音と柊吾が手をつないでマンションから出てくるのを見かけ驚いた。

そんなとき、大抵のひとはふたりをそのままそっとしておくのだろうが、史緖は違った。

すぐさま駆け寄り、凛音に「いつから付き合ってたの?」とストレートに尋ねたのだ。



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