身ごもりましたが、結婚できません~御曹司との甘すぎる懐妊事情~
凛音はぎくりとし、視線を泳がせる。

史緖は唯一柊吾との関係を知っていて、いつも凛音を気にかけ心配しているのだ。

「先週一緒に食事に行ったときも体調が悪いって言ってあまり食べてなかったし、大丈夫なの? どうせ壬生課長のことでいろいろ悩んでるんでしょ?」

「そんなこと――」

「ないわけないよね。壬生課長の家で暮らしてるも同然なのに、相変わらずはっきりせず曖昧なままなんて、鬼? 悪魔? 見た目がいい分ずるいよね」
 
よっぽど腹に据えかねているのか、史緖の声が次第に大きくなる。

「ちょ、ちょっと史緖。声が大きいし、名前を出さないで」
 
凛音は声高に話す史緖を慌てて制止した。

エレベーターにいつ誰が乗り込んでくるのかわからないのだ。

柊吾の名前を出すのは控えてほしい。

「あ……ご、ごめん」

史緖はハッと口を閉じ目の前で両手を合わせた。

「だけど、今の凛音の疲れた顔を見たら黙っていられない。凛音がなにも言わないからって調子に乗ってるんだよ。凛音が単なるセフレとは思わないけど、それにしても曖昧だよね。独占欲全開なのにはっきりした言葉を言わないなんてさ。そりゃ、凛音も悩むよね」


 
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