カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました

「会いたいな」

せめて月城さんが夢に出てきてくれないかな、と目を閉じる。
するとスマートフォンが着信を知らせた。
月城さんだ。

「お疲れ様です!」

すぐに電話口に出ると笑い声が聞こえてきた。

「ハハ、元気だな」
「いや、毎日へとへとです。でも月城さんの声聞いたら元気出ました」
「お役に立てて光栄だ」

月城さんの明るい声が耳に心地よい。
クラシックの音楽も相まって本当に疲れが引いていく。

「あれ?今、どちらにいらっしゃるんですか?」

クラシックが趣味だと聞いた覚えはないと聞いてみると武地さんのお店に新しい秘書の方と来ていると言う。

「彼もかなり疲れている様子だから美味しいものでも食べさせてあげようと思って」
「なるほど」 

秘書の仕事を思い出し、深く頷く。

「咲がいかに優秀だったか、みんな思い知らされているよ」
「そんなことはないです。でも、そうですね。たしかに忙しかったな」
「今よりも?」
「同じくらいです」

楽しさがプラスされている分、今の方がラクだと思ったけどそれは言わずにおいた。
月城さんのそばにいられない寂しさも大きいから。
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