カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
「はぁ……」
部屋を出た途端、大きなため息が出てしまう。
「社長秘書に戻りたいって正直に言えばよかったかな」
ハッキリ言えなかった自分が悪いのに、話をうやむやにされたことがモヤモヤして仕方ない。
でも陰口なんて叩かれていい気分はしない。
「はぁー…」
モヤモヤを吐き出すように深く息を吐きながら歩いていると「加藤」と背後から声をかけられた。
振り向くと広報部の服部修哉がいた。
人懐こい笑顔が可愛い同期の服部くんは気遣いの出来る、優しい好青年として男女問わず人気がある。
「お疲れ様」
「お疲れ…って、ほんと疲れてるな。大丈夫か?」
服部くんが私の顔を覗き込んできた。
些細な変化に気付ける服部くんはさすがだ。
でも私なんかに気を使わせるのは申し訳ない。
「大丈夫。それより」
月城さんと同じように話題を変える単語を口にした。
そのことに気付いた時、月城さんもなにか言いたいけど言えない事情があったのかもしれないと思った。
「『それより』どうした?」
「あ、ごめん。えーっと、そうそう!今度月城さんのところに社内報の取材が来るって聞いたんだけど、担当って服部くん?」
「そうだけど」
なんで?と言いたげに首を傾げたので月城さんの専属秘書になったこと、服部くんが来てくれたら嬉しいことを伝える。
「え?なんで?なんで俺が来たら嬉しいの?」
笑い混じりの服部くんに真面目に答える。