カメラを趣味にしていたら次期社長に溺愛されました
「しかし。服部はいい男なんだが、酒癖が悪いな」
服部くんを先にタクシーに乗せ見送ると、月城さんが苦笑いで言う。
「武勇伝とモテ自慢とか。面白いが何度も聞かされると先にオチを言いたくなる」
「私なんて何回聞かされたことか」
フフッと思い出し笑いをすると月城さんが私を見下ろし、首を傾げた。
「あぁ、そうか。高校からの知り合いだったもんな」
「はい」
だから武勇伝の半分は嘘だと知っている。
また思い出して笑うと月城さんが質問を投げかけてきた。
「服部のこと、好きだった?」
「え?」
見上げると月城さんは酔っているとはいえ、真剣な顔をしていた。
そういえば前にも聞かれたことを思い出す。
よほど気になっているのだろうと正直に答えることにした。
「服部くんのこと、好きでしたよ。でも」
ちょうどタクシーが来た。
乗り込むなり、月城さんが運転手さんに伝えたのは私の住所ではない。
「どちらに?」
聞くと月城さんの自宅だと言う。
道順的に先に月城さんが帰った方が近いからだと納得したのに到着すると手が差し出された。
「降りるぞ」
「え?」
戸惑って躊躇していると半ば強引に手を引かれた。