37℃のグラビティ
そして約束の日。


新海のマンションの前にやって来たアタシは、一年ぶりに見る景色をなんだか懐かしく思う。


前以って教えてもらっていたオートロックの解除番号を押し、マンションの中へ入る。


新海の部屋のインターホンを押すと、


「よぉ」


とても久しぶりに会うとは思えない、ラフな口調と表情で、新海がアタシを出迎えた。


新海に続いて入ったリビングで、アタシは手土産に持ってきたケーキの箱を新海に渡す。


「ここのケーキ、けっこうおいしいんだよ?」


「気遣いサンキュ」


「気遣いってゆーか、アタシが食べたかったから」


真顔で冗談めかしたアタシを見て、「ハハッ」と新海が声をあげて笑った。
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