身代わり政略結婚~次期頭取は激しい独占欲を滲ませる~
それから、数十分後。
私は東京駅前のホテルにやってきていた。
エントランスを通り、ロビーに出て辺りを見回し、剛士さんの姿を見つける。
「紀成さん」
「あ、時雨さん。お疲れ様」
「お疲れ様です……」
私はおずおずと頭を下げた。
さっきの電話で剛士さんに指定された場所が、この有名ラグジュアリーホテル。
なぜわざわざこんなところに?
たまたまこの辺に用事があったとかかな……。
夕花さんといい剛士さんといい、ちょっと掴みどころがない人だから、どうしてもなにかあるのでは……と深読みしてしまう。
私が会話に困っていると、剛士さんは邪気のない笑顔でポケットから落としたリングストラップを出した。
「はい。これ」
「あ、ありがとうございます。ずっと探してて」
「それと会社にあったよ。これもあげる」
「あっ……」
私の手に乗せられたのは、夕方スマホで見せてもらったノベルティグッズ。
「もう行き先のないものだし、よかったら受け取ってよ」
「じゃあ……お言葉に甘えて。ありがとうございます」
戻ってきたリングストラップと新しいグッズを見て、うれしい気持ちが込み上げる。
大事にバッグへしまおうとした瞬間。
「ごめん」
「え!」
今しがた返されたリングストラップとコレクトケースを剛士さんに奪われる。
私は目を白黒させて彼を見た。
彼はそれをまたポケットに入れて、申し訳なさそうに言った。
「本当は、落し物も拾ったあと届けるとか、受付に預けるとかできたんだけど、時雨さんに会う口実できたと思っちゃって」
私は東京駅前のホテルにやってきていた。
エントランスを通り、ロビーに出て辺りを見回し、剛士さんの姿を見つける。
「紀成さん」
「あ、時雨さん。お疲れ様」
「お疲れ様です……」
私はおずおずと頭を下げた。
さっきの電話で剛士さんに指定された場所が、この有名ラグジュアリーホテル。
なぜわざわざこんなところに?
たまたまこの辺に用事があったとかかな……。
夕花さんといい剛士さんといい、ちょっと掴みどころがない人だから、どうしてもなにかあるのでは……と深読みしてしまう。
私が会話に困っていると、剛士さんは邪気のない笑顔でポケットから落としたリングストラップを出した。
「はい。これ」
「あ、ありがとうございます。ずっと探してて」
「それと会社にあったよ。これもあげる」
「あっ……」
私の手に乗せられたのは、夕方スマホで見せてもらったノベルティグッズ。
「もう行き先のないものだし、よかったら受け取ってよ」
「じゃあ……お言葉に甘えて。ありがとうございます」
戻ってきたリングストラップと新しいグッズを見て、うれしい気持ちが込み上げる。
大事にバッグへしまおうとした瞬間。
「ごめん」
「え!」
今しがた返されたリングストラップとコレクトケースを剛士さんに奪われる。
私は目を白黒させて彼を見た。
彼はそれをまたポケットに入れて、申し訳なさそうに言った。
「本当は、落し物も拾ったあと届けるとか、受付に預けるとかできたんだけど、時雨さんに会う口実できたと思っちゃって」